こんにちは。カン・チャヨンです。
本日は、複数回の鼻整形手術と炎症による拘縮変形を経験された患者様の矯正事例をご紹介いたします。
この事例は、複雑な鼻の再手術の難しさとその解決過程を明確に示す一例です。
1. 術前デザインカウンセリング
患者様は、全体的に広がった印象の矯正と、鼻孔が見えて不自然な横顔の改善を希望されていました。手術歴は以下の通りです。
1. 2009年:シリコン + 耳介軟骨
2. 2010年:シリコン + 自家真皮
3. 2012年:シリコン + 自家肋軟骨
4. 2015年:シリコン + 自家肋軟骨
5. 2022年:炎症によりシリコン除去
6. 8か月後:鼻先のみ自家肋軟骨 + 耳介軟骨を使用、幹細胞注射治療
このように複数回の手術を重ねてこられた患者様の状態を詳しく分析してみます。
正面:
- 鼻孔が目立ち、非対称である
- 鼻先の輪郭がほとんどなく、広がって丸い鼻先になっている
- 鼻筋にメリハリがない
斜め側面:
- 眉間が非常に低い
- 鼻先が丸く、上がって見える
側面:
- 眉間が低く鼻背が高い
- 鼻先が短くアップノーズになっている
- 鼻唇角が大きく口元の突出感が認められる
鼻孔:
- 鼻孔の左右非対称がある
- 過去の鼻孔縁下降術で移植された皮膚が鼻孔側へ突出している
2. 手術計画
患者様の複雑な状態とご要望を考慮し、以下のような手術計画を立案しました。
a) 幹細胞注射治療:2週間隔で3回実施し、鼻の皮膚を柔らかくする
b) 自家肋軟骨を用いた鼻中隔再建および延長術
c) 皮下組織の部分除去術
d) 外側骨切り術
e) 鼻唇角矯正
f) 鼻筋へのシリコンプロテーゼの部分的使用
g) 直半ラインの形成
3. 手術内容
クローズ法(非開放式)アプローチにより、以下の手術を行いました:
a) 鼻中隔再建:
- 予想通り鼻中隔軟骨の大部分が損傷していたため、自家肋軟骨を用いて再建しました。
b) 鼻翼軟骨の再建:
- 両側の鼻翼軟骨がほとんど除去された状態でした。
- 以前の手術で使用されていた耳介軟骨を慎重に剥離し、両側の鼻翼軟骨を再建しました。
c) 鼻背組織の除去:
- 鼻背にあった硬い線維組織と拘縮組織を丁寧に除去しました。
- これにより鼻背の皮膚の厚みを薄く整えました。
d) 鼻の形態改善:
- 丸くひどく持ち上がっていた部位を自然に改善しました。
e) 外側骨切り術:
- 広がった印象と曲がって見える印象を矯正しました。
f) 鼻唇角矯正:
- 鼻柱を自然に下げて鼻唇角を改善しました。
g) 鼻筋プロテーゼの挿入:
- 不自然な横顔のラインを改善するため、鼻筋にシリコンプロテーゼを部分的に使用しました。
すべての処置をクローズ法(非開放式)アプローチで行ったため、外側に傷跡を残さず手術を完了しました。
4. ビフォーアフター写真の比較
術直後0日目の写真を比較すると、以下のような改善点を確認できます:術直後の写真は腫れが残っている状態のため、最終結果とは異なる場合があります。
正面:
- 目立っていた鼻孔が自然に隠れるようになりました。
- 鼻孔の非対称が大幅に改善されました。
- 広がって丸かった鼻先が、より繊細で自然な形に改善されました。
- 平坦だった鼻筋に適度な高さと輪郭が生まれました。
斜め側面:
- 低かった眉間が自然に高くなりました。
- 丸く持ち上がっていた鼻先が改善され、鼻全体のラインが滑らかになりました。
側面:
- 眉間と鼻背の高さのバランスが改善されました。
- 短く持ち上がっていた鼻先が適切に矯正され、全体のバランスが整いました。
- 大きかった鼻唇角と口元の突出感が改善され、自然な印象になりました。
鼻孔:
- 鼻孔の非対称が大幅に改善されました。
- 以前の手術で突出していた皮膚が自然に整いました。
5. 術直後0日目写真一覧術直後の写真は腫れが残っている状態のため、最終結果とは異なる場合があります。
6. 総評
このようなタイプは、複数回の鼻整形手術と炎症による拘縮変形を伴う非常に複雑な症例でした。こうしたケースでは、単に外見的な改善だけでなく、鼻の機能面まで配慮した総合的なアプローチが求められます。
最大の難関は、鼻の内部に正常な軟骨組織がほとんど残っていなかった点です。これは美容面のみならず機能面でも大きな問題となり得ます。そのため、自家肋軟骨を用いた鼻中隔再建と鼻翼軟骨の再建が不可欠でした。
また、拘縮した鼻の皮膚を柔らかくすることが極めて重要でした。そのために事前の幹細胞注射治療を行い、手術中には鼻背の拘縮組織を丁寧に除去しました。この過程では正常組織への負担を最小限に抑え、特に血管の損傷に細心の注意を払いました。これは皮膚壊死を予防し、術後の回復を助けるうえで重要な役割を果たします。
今回の手術により、患者様の鼻の形状は全体として自然に改善されました。広がって持ち上がっていた鼻先が整い、鼻筋の高さと輪郭が改善され、鼻唇角の矯正を通じて顔全体とのバランスも向上しました。
7. おわりに
複数回の手術を受けられ、炎症による拘縮変形が生じた鼻の再手術は難易度の高い手術です。本来鼻の内側にあるべき正常な軟骨組織がほとんど残っていないことが多く、その都度、軟骨を再建しなければなりません。これは造形上の理由だけでなく、機能面を維持するためにも欠かせない処置です。
耳鼻咽喉科専門医として、このような複雑な再建手術こそが私たちの果たすべき重要な役割であると考えております。特に拘縮鼻の手術では、鼻の皮膚を柔らかくする工程が最も難しく、かつ肝心な部分です。そのためには正常組織の損傷を抑える手術手技と、とりわけ血管損傷を回避する繊細なアプローチが求められます。これは皮膚壊死を防ぎ、良好な結果を得るために必須となります。
こうした複雑な再手術症例を着実に解決するためには、豊富な経験と深い見識が必要です。ノーズラボ医院は耳鼻咽喉科専門医としての専門性と長年の臨床経験を基盤に、このような難症例に対しても最善の結果をお届けできるよう努めております。
拘縮鼻でお悩みの方、度重なる鼻整形で納得のいく結果が得られず苦しんでいらっしゃる方にとって、本症例が一つの希望となれば幸いです。いかに複雑なケースであっても、クローズ法(非開放式)アプローチと確かな技術によって改善を目指せるということをお伝えしたいと考えております。
皆様の美しく健康な鼻のために、いつでも寄り添ってまいります。
カン・チャヨンでした。ありがとうございました。
ありがとうございます。
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限界と副作用
自家肋軟骨を使用する場合、肋軟骨を採取した部位に傷跡や痛みが残ることがあり、稀に胸膜損傷が生じる場合があります。また、移植した軟骨が時間の経過とともに曲がったり、一部吸収されたりする可能性があります。
プロテーゼを除去して再手術を行う場合、除去後に拘縮が再び進行したり、鼻の高さや長さが短くなったりすることがあり、皮膚の状態によっては段階的な手術が必要となる場合があります。
鼻中隔を同時に矯正する場合、鼻づまりが残存または再発する可能性があり、稀に鼻中隔穿孔や嗅覚の変化が生じる場合があります。
共通のリスクとして、感染、出血、非対称、傷跡、皮膚壊死、改善効果の不足などが生じる可能性があり、結果には個人の皮膚状態や過去の手術歴による個人差があります。